朝夕はめっきり涼しくなり、山間部にある当院では日一日と冬の足音が近づいている、そんなこのごろです。奥出雲町はとても素敵なところで、空気はきれい、米も酒もうまい、人間はみないい人ばかり。唯一苦手なのが冬だなあといつも思ってきましたが、この1−2年で少し感じ方が変わってきました。寒くて厳しい冬があるからこそ、春がすばらしいのだと。草の芽も冷たい雪の下で命の力をたくわえているのだと。冬がやってくるという、一見寂しい変化をポジティブにとらえることができるようになってきたのは、やはり年齢のなせる技でしょうか。そうだとすれば、年をとる事はそんなに悪いことじゃないと思い始めています。

 前回は、日本では消化器癌の化学療法は外科医が行う事が多い、という事を書きました。かくいう私も、残念ながら術後に再発した患者さんや、進行していて手術することができない患者さんに対し、良く言えば独学で勉強したり先輩医師に教わったりして、悪く言えば見よう見まねで化学療法を行ってきました。これは私や私の周りだけの事ではなく、特殊ながん専門病院でもない限りはどの病院でもほぼ似たような状態でした。

 事情が少しずつ変わってきたのは、10年少し前からでしょうか。新たな化学療法の薬剤が次々と開発され、薬剤の投与方法や患者さんの管理の仕方などが専門的・複雑になるにつれ、化学療法の専門医の必要性が高まってきました。またアメリカをはじめとする化学療法における先進国の状況が広く知られるようになってきた事もその動きに拍車をかけたのだと思います。

 このような中、日本臨床腫瘍学会は、2005年に第1回がん薬物療法専門医認定試験を行い、専門医1期生47名が誕生しました。以来毎年専門医認定試験を行い、本年までに600名近い専門医が全国で誕生しました。私も本年その試験に合格する事ができました。島根県で5人目でした。

 さて、私が専門医となって何が変わったのでしょうか? そういったお話はまた次回に譲ることとして。。。。。。

ラケット 皆さんは趣味がありますか? あるとお答えの方はどんな趣味でしょう? スポーツ、文化的な事、何かを作る事、鑑賞する事、いろいろあるでしょう。私も仕事を離れると、いくつかのこだわりの趣味があります。そのうちのある部分は、生き甲斐と言ってもいいでしょう。そのひとつがテニスです。昨日もはるばる益田市までテニスの試合に出かけてきました。残念ながら2回戦で負けてしまいましたが、強い選手に善戦できたので満足です。激しい試合になったので太ももとお尻がかなりの筋肉痛です。

今回は愛用のラケットとともに終わります。ではまた次回。

 

2011年10月31日 奥出雲病院 外科 鈴木賢二